新型コロナウイルスの感染拡大防止のために経済活動を抑制せざるを得ない状況が続いています。事業主や労働者への公的支援が求められ、雇用調整助成金の特例措置などが拡充されています。2月14日から特別相談窓口を設けている新潟労働局の雇用環境・均等室から経営や雇用を維持するための公的支援について説明していただきました。
雇調金相談 4月は4千件超す
新潟労働局 雇用環境・均等室に聞く
―県内企業からの相談で多いのはどんな内容ですか。
「窓口を開設した初めのころは、労働者の休業措置についての相談が多かったのですが、だんだんと労働者への賃金補償や解雇に関する相談が増えました。雇用を維持していただくために雇用調整助成金の利用を勧めており、その相談は2月が25件でしたが、3月は1107件、4月は4103件もありました」
―休業関係にはどのような相談がありますか。
「発熱がある労働者を休ませるためにはどの休暇制度を使えばよいかということや、感染拡大を防ぐために事業を休止せざるを得なくなったときの対応などについての相談があります」
「まず発熱がある労働者には休んでいただくよう呼び掛けています。新型コロナウイルスに感染しているかどうか分からず、労働者が自主的に休む場合、通常の病欠と同様に取り扱っていただくことになりますが、労働者が安心して休めるよう労使の話し合いによって有給の特別休暇制度を設けることも勧めています。新型コロナウイルス対策として、中小企業主がその制度をつくる場合、外部専門家のコンサル料や設備の導入費などの一部を助成する制度(上限50万円)もあります」
「年次有給休暇を使ってもよいかという相談もあるのですが、年次有給休暇は原則として労働者の請求に応じて取得してもらうものなので、事業主が一方的に取得させることはできません」
子どものために労働者が有給休暇を取得したら、企業へ賃金助成金も
―感染拡大防止のために小学校や保育所などが臨時休校・休園したとき、保護者が仕事を休まざるを得ないケースもあります。
「そうした保護者である労働者に年次有給休暇以外の有給の休暇を取得させた企業に対し、支払った賃金相当額(1人1日当たり8330円まで)を助成する制度もあります。対象となる労働者は正規雇用・非正規雇用を問いません」
―事業を休止せざるを得ない状況になったとき、労働者は賃金を補償されるか、事業主は賃金をどうやって用意するか、いろんな課題が想定されます。
「労働者からは休業手当が支払われないという相談もあります。まず労使がよく話し合って、労働者の不利益にならないよう努力することが大切です」
「新型コロナウイルスの感染防止が強く求められる中で、事業主が自主的に休業する場合、経済上の理由により事業を縮小せざるを得なくなったものとして、雇用調整助成金の対象となります。事業を縮小しても労働者を解雇せず、雇用を維持する企業に対しては、正規雇用・非正規雇用にかかわらず、助成率を中小企業は10分の9、大企業は4分の3に引き上げました(労働者1人1日当たり8330円が上限)。雇用保険の被保険者ではない労働者の休業も対象にするなど、特例措置を拡大しています。労働時間が週20時間未満のアルバイトの学生も対象になります」
多彩な支援制度、組み合わせ活用を
―雇用調整助成金だけでは事業を維持していくことが難しいケースも増えています。
「いくつかの支援制度を組み合わせて活用していただきたい。雇用調整助成金は厚生労働省の休業手当補助制度で、支給は6月になる見込みです。経済産業省には事業全般に使える持続化給付金があり、5月中・下旬には支給されます。これは売上が前年同月比で半分以下になった個人事業主に最大100万円、法人に最大200万円を給付するものです。また、新潟県は休業要請に応じた中小企業に10万円の協力金を支給します。県は、一定の要件を満たした場合に3年間実質無利子・保証料ゼロになる制度融資(融資限度額3000万円)も創設しました。これらをぜひ活用してください」
(取材・SDGsにいがた事務局)
※取材は5月7日に行いました。新型コロナウイルスに関連した支援制度の新設・拡充は日々検討されており、詳しくは新潟労働局や厚生労働省、経済産業省、新潟県などのホームページをご確認ください。
新潟労働局ホームページ「新型コロナウイルス感染症への対応について」
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