新型コロナウイルスの感染が国内外で拡大し、地域経済・地域社会の行方も見えません。感染症対策はSDGsゴール3の健康課題に当てはまるとともに、ゴール8の持続可能な経済成長と雇用維持、あるいはゴール9の強靱なインフラ構築と持続可能な産業化の促進、さらにゴール11の安全かつ強靱で持続可能な居住環境の実現、ゴール12の持続可能な生産消費形態の確保などにも関連すると考えられます。
すなわち新型ウイルスへの対応は、SDGsの目標とも合致します。逆の言い方をすると、SDGsに取り組めば、新型ウイルス感染の克服にもつながるということになります。
こうした観点から、地域創生プラットフォーム「SDGsにいがた」は、「新型ウイルス対策WEBフォーラム」を開設します。会員企業・団体の皆さまの不安、疑問、取り組み、要望、希望を集め、発信します。地域経済・地域社会を脅かす新型ウイルスに対してどのように考え、行動すれば、SDGsの理念に合った経済、社会、環境のよりよい好循環が生まれるかを探ります。
5月まで2回ピーク襲来の恐れ
新潟大理事・副学長の川端和重さんに聞く
―新型コロナウイルスの感染は今後、県内でどのように拡大すると思いますか。
「このウイルスは、観光やビジネス等で日本に来た方々から感染が広がったいわばグローバル化の副産物とも言えます。新潟では感染者数はある程度ありますが、ほとんどの感染経路が把握されているので、拡大を阻止するコントロール下にあると言えます。ただ、外部からどのような形でウイルスが入り込み、それが広がるかは全く予断が置けない状態です。このため、新年度の多くの人々の異動や国内の行き来によって、どれだけ感染が広がるか分からない状況です。この移動によって4月中旬ごろまでは感染者数の大きなピークが訪れる恐れがあり、次は、5月のゴールデンウイーク中にもたくさんの人の(帰省や行楽地等に)動きがあることから、5月中旬ごろまでは再び大きなピークがあると考えられます。どんな事態が起きても対応できるように想定しないといけません。ただ逆に言うと、これらの時期に危険エリアへの移動自粛や各自の感染防止等が徹底されて、感染が拡大せずにこの時期を乗り越えられれば、感染症拡大に対する危機意識を共有したコミュニティーが形成され、その後に急激な感染拡大が起こりにくくなる可能性があると思います」
―新潟大学では新年度の授業をどのように進めますか。
「授業は4月8日から開始予定でしたが、20日に繰り下げました。感染が拡大している地域からの入学者には6日までに新潟に転居してもらいますが、2週間は不要不急の外出を控えて待機してもらい、2週間の間37.5度以上の発熱、咳、咽頭痛、倦怠感などの症状がないかどうかのチェックシートに記入してもらいます。同時に、このような対策をとっている意味や初めての新潟生活に不安を持たないように学生の皆さんとのコミュニケーションを密にします。6月まではZoom(セミナーやミーティングをオンラインで開催できるアプリ)などを使った遠隔型授業やリポートの提出によって、対面型の授業は避け、7月からは可能な範囲で対面型の演習や実習も始める方向で検討していますが、感染状況を見て判断します」
―志村けんさんが亡くなって、新型コロナウイルスの怖さが一気に広まりました。感染しないよう気を付ける人も増えたようです。
「不要不急の不特定多数の人々との濃厚接触を避け、手洗いやうがいをこまめにやることで自分が感染しない対策をとることということだけでなく、自分が他の人にうつさないという意識を高めることが重要です。この感染症の特徴としてインフルエンザのような高温発熱といったわかりやすい自覚症状がありません。気温が不安定なこの時期、朝起きたらのどが痛かったりすることもあると思います。このときに、まず、思い当たることがないかを考えます。そのうえで、感染の可能性が少しでもあるようならすぐに自宅待機を始めてほしい。自分は免疫力が高いから大丈夫と思っても、自分が感染源となってウイルスを広める恐れがある。感染拡大を防ぐためには、本人が自宅待機を申告する意識とそのようなことが言える環境を周りがつくる意識が必要で、その怖さや症状、(志村さんのように)症状が出るとあっという間に死に至る危険性もあることを認識し、一緒に活動する集団全体で共有する必要があります」
社内に感染者発生なら、公表する方がプラス
―企業では感染者がいた場合、風評被害を心配して、社名を公表するかどうか悩むと思います。
「風評被害は心配でしょうが、今は社名を率先して公表する方がプラスに作用すると思います。感染者がどういう人で、どんな人たちに接触していたかが分かれば、すぐに対策がとれますし、接触していない人たちにとっては安心情報になります。こんな状況の中では、どこで感染者が出てもお互いさまと考えた方がよいでしょう」
―企業では出勤時の手洗い等はもちろん、テレワークやテレビ会議の推進、出張の制限などさまざまな感染防止策をとっています。しかし感染拡大がいつ収まるのか見通しがつかず、いつまでこのような対応をとればよいか、懸念されています。
「感染防止のために厳しく管理していることを、いつ、どのような状態になったら緩めるか、ということも今から想定しないといけません。少し時間がかかるかもしれませんが、必ずこの感染症は収束します。政府等も経済対策を立てるでしょうが、どの時点で収束すれば、自分たちはどのような状態になっているか、どうやって元の状態に戻すか、今回の対策でテレワーク等予想外に進展することもあるはずです。それらも想定し準備することが、グローバル化が進む地域の未来を考えるために重要だと思います」
(聞き手:SDGsにいがた事務局)
このインタビューは2020年4月3日に行いました。
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