SDGsに取り組む県内の団体をたたえる「第6回新潟SDGsアワード」の表彰式が2月14日に新潟市中央区の日報ホールで行われました。今回は経済、社会、環境の3部門に14件の応募があり、大賞1件、優秀賞3件、食の新潟国際賞財団特別賞1件の計5件を選出。奨励賞は各部門とも該当なしでした。
髙島徹審査委員長(新潟大学社会連携推進機構教授)は「今回の受賞者のキーワードは循環と次世代育成だった。各企業では社員の方々への発信に取り組んでおり大変すばらしい」と講評しました。
大賞の株式会社ナカショクは「フードロス」対策として、フードリサイクル事業を2018年から開始。新潟県内の食品メーカーを中心に年間約1万2千トンの廃棄食品を引き受け、独自の飼料化技術で加工し、鶏や豚の飼料として活用していることが評価されました。
表彰式では受賞者に対し表彰状と、副賞として障害者によるアート作品が贈られました。また今回より受賞者がPRや対外的な発信に使える受賞ロゴマーク(下の写真のスクリーン参照)を制作、贈呈しました。
各受賞者が表彰後に行った取り組み報告(要旨)を掲載します。

受賞した皆さんとSDGsにいがた理事ら
大賞
株式会社ナカショク(新発田市) 報告:本間友生社長
タイトル:フードリサイクル事業部の取り組み(食品廃棄物を畜産飼料として活用)

ナカショクの本間友生社長(中央)
このたびは新潟SDGsアワード大賞をいただきまして誠にありがとうございました。フードリサイクル事業の新しい価値の創造というところを評価いただけたことを大変うれしく思っています。
ナカショクは養豚業と養鶏業を本業としており、卵の生産などを通じて生産者としての使命を果たしてきました。その一環として、廃棄食品を活用したフードリサイクル事業を2018年に開始しています。食品廃棄物を飼料化し、豚や鶏を育てることで、持続可能な循環型社会の実現に向けて貢献しているのが特徴です。
2018年は畜産業にとって飼料価格の高騰など厳しい課題がありました。こうした状況下で、ナカショクは新潟県内の米菓関連メーカーなどと連携し、廃棄される食品に対して新たな価値を生み出す努力を進めてきました。この取り組みにより、飼料コストの削減と食品ロス問題への貢献を同時に実現しました。
同社では年間約10万トンの飼料を使用し、その99%が穀物原料で構成されています。新潟県内において年間7万~8万トンの食品ロスが発生する中、ナカショクはこれまでに1年間で1万トン以上の食品原料をリサイクルして飼料化し、豚や鶏に与えています。このプロセスにより生まれた肉や卵は、再び消費者の食卓に届けられるという循環が実現されています。
フードリサイクル事業は、廃棄食品を飼料化するだけでなく、地域性を活かした取り組みとしても注目されています。新潟県には米菓メーカーが多数存在し、米を主原料とする企業が多いため、こうした廃棄食品が飼料として活用される形が可能となりました。さらに、ナカショクは鶏と豚の両方を扱う生産者としての特性を活かし、オリジナル飼料を開発することで、持続可能な循環型モデルを構築しています。
ナカショクは畜産業を地域産業の活性化につなげるため、取引先との関係構築や価値の共有に努めています。食品廃棄物の飼料転換だけでなく、豚や鶏の糞を堆肥化して農地に還元する施策も実施しており、さらなるリサイクルの強化を目指しています。
今後は単純なフードリサイクル、単純な畜産業ではなくて、生産と消費というサイクルを持ちながら、いろいろな部分での価値創造と地域産業の活性化に従業員一丸となって尽力していきます。新潟県という農業主体の地域を活かしつつ、未来を見据えた取り組みを進めていきます。
経済部門優秀賞
和光紙器株式会社(柏崎市) 報告:本橋志郎社長
環境と命がつながる地域共創型・循環型防災の実現へ

和光紙器の本橋志郎社長(左から2人目)
このたびは経済部門優秀賞をいただき、本当にありがとうございます。今回の発表では、「私たちだから出来るSDGs活動」というテーマでお話しさせていただきます。
まず、簡単に会社の紹介をします。当社は昨年63周年を迎えた会社で、製造業向けの包装資材や環境対応商品、防災グッズの設計・開発・製造を行っています。包装資材というのは主役ではありませんが、大切な商品の安全を守るために欠かせないものです。だからこそ環境に配慮したものづくりが必要だと考えています。
今、世の中にはたくさんの使い終えたプラスチックがありますよね。それを循環資源として活かし、本来持っていた価値を回復させる仕組みが大事だと思っています。そのために一貫製造ラインを整備してきまして、「WAKOH式サーキュラーエコノミー」を実現することができました。この仕組みでは、モノづくりで1%の無駄も出しません。例えば、発泡緩衝材の加工時に出る端材やロス材も捨てずに減量して再生し、環境配慮型商品「ポリエコレンシリーズ」を作っています。コスト面でも、従来品と変わらない価格で提供できるまで商品化しないというルールを設けており、本当に無駄を省いています。
続けて、私たちのSDGs活動についてお話しします。まず、取り組みは「個人」「拠点」「会社」と進める段階をつくっています。個人では、社員一人ひとりが私生活の中でできることを考えるところから始めています。そして年末には個人での活動を発表する場を設け、お互いの取り組みを共有しています。拠点活動では、勉強会を開き、皆でアイデアを出し合って何を始めるかを決めるところからスタートしました。最初は清掃活動など、小さな取り組みから始めましたが、次世代育成の活動や地域特性を活かした活動、防災活動にもつながっています。たとえば、段ボール工作教室や海岸清掃などでは、子どもたちも参加し、楽しみながら学ぶ取り組みをしています。こうした活動が従業員の誇りや自信にもつながっています。
さらに、防災グッズの開発にも力を入れています。段ボールベッドや段ボールトイレ、携帯トイレなんかは、環境や使いやすさ、保管のしやすさを考えて作りました。避難所用のペットケージも新しく開発し、ペットを飼っている人にも配慮した商品にしてあります。こうした製品はリサイクル材を活用し、使い終わった後も環境への負荷を減らす工夫をしています。
最後に、私たちのSDGs活動は小さな取り組みの積み重ねですが、それが確実に力となり、社会から必要とされる会社に成長していると感じています。そして、社員一人ひとりが考え、行動することで会社も未来も作られていきます。これからも、仲間と共に挑戦を続けていきます。
社会部門優秀賞
株式会社アレックスプランニング(新潟市秋葉区) 報告:今井一男顧問
「SDGsボードゲーム新潟県版」制作、小中学校・高校・大学への SDGs出前授業実施

アレックスプランニングの今井一男顧問(右)
このたびは社会部門優秀賞をいただき、心より感謝しています。本日は、私たちの取り組み「SDGsボードゲーム新潟県版の製作」と「小中学校や大学へのSDGs出前授業」についてお話しします。
まず、簡単に会社の紹介ですが、アレックスプランニング新潟営業所は新潟市秋葉区にあり、SDGs普及の活動や出前授業、セミナー、中小企業のSDGs支援を行っています。私はボードゲームのファシリテーターをしていて、新潟県版の地域密着のSDGsゲームを作りたいと思ったのが活動の始まりです。生まれ故郷である新潟を拠点に「次世代の子どもたちに笑顔の未来を届けたい」「新潟から世界を変えたい」という想いでこのプロジェクトを始めました。
ゲーム自体は全国版をベースにしていて、新潟県内のSDGs事例をわかりやすく、楽しく学べる内容になっています。本来ある予算をどう活用し、他のプレイヤーと協力しながらゴールを目指す、すごろくのような形のボードゲームです。制作にあたっては、2023年4月から企業や団体から情報を集め始め、100件ほどの新潟県内の事例をまとめました。漢字にふりがなをつけたり、イラストを取り入れたりして、小学5年生以上から大人まで楽しめる内容にしています。ちょうど1年後の2024年3月に完成しました。
制作したセットは全部で80セット。協賛として50口を募集し、一口3万円で150万円の印刷費と活動費をまかないました。そのうち30セットを使い、現在SDGs出前授業を実施しています。また、授業を担当するファシリテーターを育成するため、資格講座も開催。第四北越銀行、新潟日報、新潟博報堂などの協力をいただきながら進めています。
ゲームの中身ですが、新潟の地図にSDGsの事例が記されたカードを配置し、課題解決を目指します。たとえば「良寛の里を守る活動」のカードには、環境、社会、経済の分類が分かりやすく記されていて、それぞれSDGsの目標番号が記載されています。ゲームの目的は、新潟県の社会課題を解決しながらスコアボードの点数を上げ、新潟の未来を明るくすることです。参加者は、大企業や中小企業、大学、慈善団体などの役割を担って協力し合い、解決策を模索します。
出前授業は、県内の小中高校、大学、企業で実践しています。たくさんの子どもたちや地域の皆さんにSDGsを身近に感じてもらえる活動を続けています。学校は無料で、企業や団体は有料で実施していますが、多くの方にご興味頂いています。
私たちの活動は「一人の100歩よりも100人の一歩」を大事にしています。一人ひとりができることを少しずつ進めることで、未来の子どもたちによりよい環境を返せるよう努力して参ります。
環境部門優秀賞
コンドウ印刷株式会社(長岡市) 報告:近藤保子社長
小規模企業が実現する総合型SDGs経営 ー 環境・人・地域をつなぐ新たなモデル

コンドウ印刷の近藤保子社長(中央)
コンドウ印刷株式会社(新潟県長岡市)は、このたび新潟SDGsアワード環境部門優秀賞を受賞いたしました。日頃よりご支援いただいている皆さまに、心より御礼申し上げます。
当社は、創業49年のシール・ラベル印刷会社です。私たちは、SDGsを目指して経営を始めた企業ではありません。会社を続けるために目の前の課題に向き合ってきた結果、気づけば“SDGs経営”と呼ばれる形になっていました。
原動力にあったのは「理想」よりも危機感でした。印刷業界の環境変化、人口減少、気候変動、災害リスク——「このままで会社は続けられるのか」——そんな思いが、常にありました。不安があるからこそ備え、学び、行動する。その姿勢が経営を変えてきました。危機は経営を磨く機会だと考えています。
環境への取り組みは2006年、取引先からの要請をきっかけに始まりました。現在は自主的な経営判断として継続し、2020年4月には太陽光発電を導入。LED化や電力使用量の見える化、FSC認証取得、廃棄シールの全量リサイクルなどを進め、環境負荷低減と生産性向上を両立しています。
こうした取り組みを支えてきたのは、社員教育です。 中小企業大学校の研修をはじめ、個人研修・全社研修・キャリア研修など、年間30回を超える学びの機会があります。 教育があったからこそ、環境、安全、BCPといった取り組みを継続することができました。
人材面では、健康経営優良法人6年連続認定、ユースエール認定、労働安全衛生優良企業認定を取得。精神障がいのある社員2名も在籍し、障碍者雇用は「義務」ではなく新しい仲間を迎えるという考え方で共に働く工夫を続けています。
BCPは中越地震と東日本大震災の経験が原点です。中越地震では社員の安否確認が取れず受注機会を逃した苦い経験があり、東日本大震災では雇用と希望の大切さを痛感しました。そこで災害想定の実地訓練を年2回、机上訓練を年1回、普通救命救急・消火訓練も2年に1回実施し、いざという時に自分で判断できる力を養っています。
さらに、社員の継続雇用という課題を出発点に、循環型農業「アクアポニックス」事業を開始しました。環境負荷を抑えながら品質を安定させ、地域に産業と雇用を育て、食の課題にも貢献できる条件が重なり、この形にたどり着きました。
私たちにとってSDGsとは、日々の経営判断を、あとから言葉にしたものです。私たちはこれからも、危機感を力に変えながら、小さな企業だからこそできる持続可能性を積み重ねていきます。
食の新潟国際賞財団特別賞
特定非営利活動法人 新潟の科学・自然探偵団(新潟市西区) 報告:坪川紀夫代表理事
いろいろな背景を持つ子ども達に科学のおもしろさと楽しさを届けたい

新潟の科学・自然探偵団の坪川紀夫代表理事(左から2人目)
このたびは、食の新潟国際賞財団特別賞をいただき、心より感謝申し上げます。本日は、私たちの活動「サイエンスサーカス」を中心に、これまでの取り組みについてお話しいたします。
まず、団体設立の背景ですが、自然や科学への理解を深め、地域の発展と科学的知識の普及・向上に貢献することを目的に設立しました。田んぼや里山には、一粒のもみが約2000粒の米を実らせるという科学的なドラマが隠されています。こうした自然環境の素晴らしさや科学の面白さを子どもたちや大人たちに知ってもらい、興味を持続してもらうことが不可欠だと考えています。
私たちの活動の中で最も力を入れているのが今回の受賞対象となった「サイエンスサーカス」です。名前は「広場」という意味のサーカスから取り、2012年度から小中学校や児童館で開催しています。この活動では、実験機材を車に積み、新潟大学のスタッフや大学院生とともに、小規模校や離島、発達障がい児の放課後デイサービス、不登校支援のフリースクール、さらには病院の院内学級や被災地を訪問しています。科学イベントに触れる機会のなかった子どもたちに、科学の面白さを届けることを目的にしています。
サイエンスサーカスは大きく分けて「サイエンスショー」と「科学工作教室」の二部構成です。ショーでは参加者が見るだけですが、教室では自分の手で実験を体験してもらいます。「空気は重い」や「液体窒素で花を凍らせる」といった実験を通じて、科学の魅力を身近に感じてもらい、親子や地域住民の方々も楽しめるイベントになっています。原則無料で開催しており、これまでに125回実施。参加者は約1万1000名に達しました。
アンケートを通じて、子どもたちから「もっと科学を知りたい」「家でも実験したい」といった声をいただいており、実験を体験することで理科学習への意欲が大きく向上していると感じます。保護者や高齢者の方々からも、「子どもの夢中な姿が印象的だった」といった感想をいただき、初めて科学に触れる一歩としての意義を実感しています。また、大学生スタッフの活動を通じて、子どもたちが科学関連のキャリアを希望する例も出ています。
この活動を今後さらに広げていく計画です。福島県境や山形県境への訪問はもちろん、児童養護施設や夜間中学校など、これまで触れられなかった子どもたちへの支援を模索しています。財政面で課題はありますが、誰もが科学に触れられる場を提供したいという想いで活動を続けていきます。
最後に、これまで活動を支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。今後も子どもたちに科学の驚きと学ぶ喜びを届けていきたいと思います。

表彰式後の交流会では、新潟の科学・自然探偵団が学校などで行っている実験の一部が披露され、 会場は盛り上がりました
(SDGsにいがた事務局)