地域創生プラットフォーム「SDGsにいがた」は、「新型ウイルス対策WEBフォーラム」を開設しました。会員企業・団体の皆さまの不安、疑問、取り組み、要望、希望を集め、発信します。地域経済・地域社会を脅かす新型ウイルスに対してどのように考え、行動すれば、SDGsの理念に合った経済、社会、環境のよりよい好循環が生まれるかを探ります。
第3回は、ウイルス学が専門の藤井雅寛・新潟大学大学院医歯学総合研究科教授に取材し、メールで応えていただきました。
新型コロナウイルスはいつ終息するのか、インフルエンザのように毎年繰り返し感染するのか―。そうした不安に対し、藤井教授は「1年以内に終息する可能性は低い」として、「一人一人が感染予防に最大限の努力をすることが必須」と強調されています。
1年以内に終息する可能性は低い
新潟大学大学院医歯学総合研究科・藤井雅寛教授に聞く
―新型コロナウイルスに季節性がある可能性はありませんか。高温多湿になれば、感染拡大が終息する可能性はありませんか。
季節性については、今の段階では不明です。
日本が高温多湿になる6〜8月頃に新型コロナウイルスの流行が終息する可能性は少ないです。新型コロナウイルスの感染は高温多湿な東南アジアなどの国々でも拡大しています」
―ウイルスが消えてしまうことなく、インフルエンザのように毎年繰り返し感染拡大すると考えられますか。
新型ウイルスの今後については、少なくとも次の4つの可能性があります。
①新型コロナウイルスの流行が1年以内にほぼ終息する。
②新型コロナウイルスの流行が数年間、増減を繰り返して流行し、数年でほぼ終息する。
③今回の新型コロナウイルスの流行が終わることなく、毎年増減を繰り返して流行する。その場合、日本では冬に流行が拡大する。
④今回の新型コロナウイルスの流行が終わることなく、毎年増減を繰り返して流行する。しかし、ウイルスが徐々に弱毒化する。
ただし、新型コロナウイルスは新しいウイルスですので、これ以外かもしれません。私を含めた多くの専門家は、この流行が1年以内に終息する可能性は低いと考えています。
―新型ウイルスとインフルエンザウイルスとでは、感染力、致死率、増殖の範囲や勢いなど、どんな点が違い、どんな点が怖いウイルスですか。
新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザウイルスよりも強いです。新型コロナウイルスの致死率はインフルエンザウイルスの10倍以上です。その違いや怖さは次の通りです。
①致死率がとても高いです。
②肺炎の進行がとても速いです。
③感染者が、人に感染させる期間が長いです。無症状のウイルス感染者が80%程度います。そのため、周りの人に知らずに感染させてしまいます。
④複数回のPCR検査で、ウイルス陰性と診断されても、その後、陽性になることが報告されています。人の体から、排除されにくいウイルスのようです。
―このウイルスの弱点はなんでしょうか。
①新型コロナウイルスは、石鹸やエタノールなどの消毒液に弱い性質を持っています。従って、小まめな手洗いが重要です。
②中国武漢などの例をみても、人と人との接触を徹底的に避けることによって、ウイルスの流行を抑えることができます。
―このウイルスに効果が期待できる既存の薬はありますか。
他のウイルスに対して使用されてきた、抗ウイルス薬のいくつかが、新型コロナウイルスに対して効果を示すことが示唆されています。現在、これらの抗ウイルス薬が一部の感染者に対して投与され、有効性と安全性の検証が進められています。これらの抗ウイルス薬が、数ヶ月以内に国から承認され、多くの感染者に使用される可能性があります。
―新薬の開発・実用化にはどのくらい期間がかかりますか。それはどこの国でできると期待できますか。
新薬は、既存の抗ウイルス薬よりも、臨床応用に時間がかかります。現時点では、臨床応用の速さの点で、既存の治療薬の方が期待できます。将来、既存の治療薬よりも有効な薬が開発されることは、大いに期待出来ます。人類は、これまでに、複数の極めて有効な抗ウイルス薬を開発してきました。
―このウイルスのワクチンは、いつごろ、どこの国で開発・実用化されると期待できますか。
ワクチンの実用化には時間がかかります。どんなに早くても、1年以上かかります。
現時点では、ワクチンがいつ実用化できると言える段階ではありません。
一人一人が感染予防に最大限の努力を
―通勤のバスや電車で、会社や学校で、スーパーや飲食店で、アパートや住宅でどのようにすれば感染を防ぐことができますか。
①3密(密集、密接、密閉)を避ける。
②マスク、メガネ、ゴーグル、フェースガードなどを使用する。
③会話は、出来れば、通信機器、あるいは電話を使用する。
④アルコール消毒と石鹸でこまめに手洗いをする。
⑤部屋の換気をよくする。
⑥口と顔を手で触らない。口、鼻、目の粘膜から感染します。
⑦不要不急の外出を自粛する。
⑧複数の人が頻繁に触れるもの、例えばドアノブや照明のスイッチなどを定期的に消毒する。
通勤のバスや電車では
①会話はしない。会話は、通信機器を利用する。
②複数の窓を開け換気する。風が抜ける通り道をつくる。
③マスクをする。
会社や学校では、
①マスクをする。
②会議は、できるだけテレビ会議などで行う。
③接客がある場合は、フェースガードあるいは透明なボードを使用する。2㍍以上の距離をとる。
④PC、タブレット端末などを共有しない。共有する場合には、アルコールなどで除菌した機器を除菌した手で使用し、使用後にも除菌する。
⑤感染者が多い地域への出張、旅行を自粛する。
⑥感染者の多い地域からの来県は自粛を含めた対策を依頼する。
⑦人の手が触れた物に触った後に、手を洗う。
スーパーでは
①出来るだけ、一人で買い物をする。
②前もって、買う物を決めておく。
③支払いは、現金よりも電子マネーやクレジットカードの方が良い。
④現金の場合、手渡しせず、お皿などを使用する。
⑤セルフレジを使用する。
飲食店は
①できるだけ利用しない。
②出前、テイクアウト、ドライブスルーを利用する。
アパートや住宅では
①階段、通路の換気を良くする(窓を開けるなど)。
②共有部分のスイッチなどを素手で触らない。触った後には手を洗う。
ジョギングは
①10メートル以上の間隔を空けて、マスクを付けて走る。
普段から心がけることは、
①新型コロナウイルスの流行は、長期戦になることが予想されます。人が多くない場所で、定期的に運動し、気分転換の時間を持つことが大切です。
②充分な休養とバランスのとれた栄養摂取が、ウイルスに対する免疫を高めるために有効です。
③心身の健康を保つことが重要です。
④室内でできる新しいことを始めて見るのも良いです。料理、趣味、資格、語学など。
―県民へのメッセージをお願いします。
新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に深刻な事態を招いています。
この感染拡大を終息させるためには、一人一人が感染予防に最大限の努力をすることが必須です。
特に、これからの大型連休に3密を避けることが極めて重要です。
全員が一丸となって、安心して暮らせる地域づくりにご協力願います。
(取材:SDGsにいがた事務局)
※取材に対する藤井教授からの返信メールは2020年4月22日に届きました。
〈外部リンク〉
〈内部リンク〉
- 【新型ウイルス対策WEBフォーラム】SDGsの視点から考える
- 【新型ウイルス対策WEBフォーラム】厚生連新潟医療センターはいま
- 【新型ウイルス対策WEBフォーラム】いつ終息するのか 新潟大学大学院・藤井教授に聞く
- 【新型ウイルス対策WEBフォーラム】事業者へ労働者へ公的支援メニューは 新潟労働局
◆◆質問・意見をお寄せください◆◆
「新型ウイルス対策WEBフォーラム」では、会員企業・団体の皆さまの不安、疑問、取り組み、要望、希望を集約し、テーマ別に紹介したり、識者のアドバイスを事務局で取材したりしてフィードバックします。
投稿フォームから送信してください。フォームはこちら