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TOP > 脱炭素への現状と未来 第5回セミナー「多様なエネルギー資源の利活用」
sdgsにいがた事務局

脱炭素への現状と未来 第5回セミナー「多様なエネルギー資源の利活用」

2025.12.23
イベント ニュース 事務局から
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「脱炭素」をテーマにしたSDGsにいがたの2025年度第5回セミナーが12月17日にオンラインで行われました。新潟大学准教授の郷右近展之(ごうこん・のぶゆき)さんが再生可能エネルギーの現状と展望について講演。郷右近さんは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、それぞれの特性を生かした活用事例を紹介し、特に地域に根差した小規模エネルギーシステムの重要性を強調しました。また、天候などによる再生可能エネルギーの変動性に対応するため、蓄電池、化学燃料、蓄熱など多様なエネルギー貯蔵技術の現状を紹介。さらに、工場排熱や太陽熱の産業利用など、熱エネルギーの有効活用による脱炭素化の具体的な社会実装例を海外事例とともに紹介し、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギーの多様な可能性を示しました。

郷右近展之准教授

郷右近展之・新潟大学准教授

今回は新潟日報社と新潟県が共催する「にいがた脱炭素プロジェクト」との連動企画の1回目で、会員以外の方も聴講できるオープンセミナーとして実施しました。

郷右近展之さんによるSDGsセミナー「再生可能エネルギーの国内外の現状と展望~多様なエネルギー資源の利活用~」と質疑応答の要約は以下の通りです。(新潟日報生成AI研究所のサービスを利用しました)

(1)様々な再生可能エネルギー(大規模と小規模)

新潟大学の郷右近です。本日は再生可能エネルギーの現状と将来の予測についてお話しします。

■世界のエネルギー需要と再生可能エネルギーの定義
世界人口は2023年に80億人を突破し、特にアジア、アフリカを中心に今後も増加が予想されますので、世界中で膨大なエネルギーが必要とされます。

化石燃料である石炭、石油、天然ガスは、古代の動植物が長い年月をかけて変化したもので、昔の太陽エネルギーのストックを現在我々が掘り出して利用していると見なすことができます。それに対して、再生可能エネルギーは現在地球に降り注いでいる太陽エネルギーのフローを様々な形で利用するものです。太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、波力、海流、これらはすべて太陽エネルギーの異なる利用形態なんです。

再生可能エネルギーは「エネルギー供給構造高度化法」によって定義されていて、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、地中の熱、その他自然界の熱、バイオマスの7種類が法律で定められています。特徴としては、枯渇しない、どこにでも存在する、CO2を排出しない・増加させないという3点です。

日本の目標としては、2030年に再生可能エネルギー36~38%、2040年には40~50%まで増やしていく見込みです。その中で太陽光発電が23~29%、風力が4~8%程度を占める予定です。

■太陽光発電
太陽光発電は我々にとって一番身近な再生可能エネルギーで、再生可能エネルギー新設電源における発電量のシェアが最も大きくなっています。ただ、日本では設置可能な場所への普及が進んできているので、次世代のペロブスカイト太陽電池という軽くて柔軟な太陽電池で、これまで設置が難しかった場所にも導入することが期待されています。

太陽光発電の未来の姿としては、発電と空間の二重利用が検討されています。都市部のビルの壁面や窓、住宅の屋根を太陽光パネルで覆って自立電源にする、ソーラーシェアリングで太陽光パネルの下で農業や牧畜を行う、池や湖に浮体式パネルを設置する、車両一体型の太陽光発電などが実用化されつつあります。

また、ZEH(ゼッチ)=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスというのは、住宅の断熱性能を高めて省エネ機器を利用し、さらに太陽光発電を導入することで、年間のエネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅です。2020年にはハウスメーカーの新築注文住宅の半分以上がZEHになっていますので、これから太陽光パネルを備えた住宅が増えていくと予想されます。

■雪エネルギー
新潟はたくさん雪が降りますが、雪室も新エネ法で新エネルギーに位置づけられた立派なエネルギー資源です。新潟県では雪冷房設備が既に導入されていますし、奈良時代から雪や氷をエネルギーとして使う記録があります。現在では天然雪の冷熱で食品を貯蔵・熟成し、それを販売するビジネスも展開されています。

■風力発電
風力発電は風の力で羽根を回してタービンを回して発電します。日本の沿岸地域で風況のいいところに大規模な風車を建てるプロジェクトが進んでいます。

一方、小型風力発電は家庭や小規模施設での電力供給を目的としています。東京都内の企業では小型風車で1500キロワットアワーを発電して電気代を削減した例や、大学の校舎屋上に6基設置して館内電力に利用している例、学校では環境教育として活用している例があります。

災害対策としては、宮城県東松島市で指定避難所に約40台の小型風車を設置して太陽光と組み合わせて非常用電源にしたり、岩手県釜石市では水産加工施設で平時は電力削減、災害時は電力供給に利用するシステムを実証しています。技術面では、ハイブリッド車の部品をリユースしたり、高性能な小型風車の開発も進んでいます。

■水力発電
水力発電はダムに溜めた水を落として発電するもので、100万キロワットという大規模な発電が可能です。安定した電力供給ができ、ピーク時の需要にも対応できますが、新たにダムを建設できる場所は限定的で、巨額の資金と長い時間が必要なので、急増するエネルギー需要を賄うには十分ではありません。

一方、1000キロワット以下の小水力発電は新エネルギーとして認められていて、地域に根ざしたエネルギー供給源として期待されています。小さな河川に水車を置いて発電する方式で、水が流れている限り発電するので設備利用率が高く、年間を通じて安定した発電が可能です。

導入事例としては、長野県茅野市の老朽化でいったんは休止した設備を利用した蓼科発電所、山梨県都留市の「元気くん2号」で市役所に電力供給している例、南アルプス市の砂防ダムを活用した例、沼田市の上下水道を利用した例などがあります。地域に根差したエネルギー利用として、様々な場所で導入が期待されます。

■地熱発電
地熱発電は地下のマグマで熱せられた高温の水や水蒸気で発電するもので、天候に左右されず24時間安定稼働できる貴重なベースロード電源です。日本は地熱資源量で世界第3位ですから、ポテンシャルは非常に高いです。

メリットは安定発電、純国産エネルギー、多段階利用が可能という点ですが、デメリットとしては開発リスクが高く、井戸掘削の成功率が2~3割しかないこと、開発に時間がかかることが挙げられます。

今、技術開発されている「超臨界地熱発電」は、従来型が200~300度の雨水起源の流体を使うのに対し、もっと深く掘ってマグマ近くの400~500度の海水起源の流体を使います。温度レベルが上がるので発電効率の向上が期待でき、現在試掘が行われていて、2050年の社会実装を目指して開発が進められています。

■バイオマス発電
バイオマス発電は木材、生ごみ、家畜の糞尿、農作物の残さなど生物由来の資源を利用します。利用方法は3つあって、1つ目は木材チップや廃棄物を直接燃焼して発電する方式で、日本で最も一般的です。
2つ目はバイオマスを高温で熱分解してメタン、水素、一酸化炭素などの可燃性ガスを生成して燃やす方式で、高効率ですが設備コストが高いです。
3つ目は家畜の糞尿や食品廃棄物を微生物で分解してバイオガスを発生させて発電する方式で、温室効果ガス削減と廃棄物処理を同時に実現できます。

将来性としては、まず地域循環型エネルギーとして森林資源や農業残さを活用する、2つ目は廃棄物処理とエネルギー生産の両立、3つ目はバイオガスを水素や合成燃料e-fuelの原料にする研究が進んでいること、4つ目は国内の木質資源を積極活用して輸入依存を減らすことが挙げられます。ただし地域のサプライチェーン整備が課題です。

■まとめと将来像
今ご紹介した様々な再生可能エネルギーは、地域によって活用できるものが異なります。太陽光資源が豊富なところは太陽光発電、風資源が豊富なところは風力、山林が多い自治体はバイオマス、水資源があるところは水力、地熱があるところは地熱発電といった形です。

将来的にはこれらをスマートグリッドという次世代の電力網で全部つないでいく姿が想像できます。電気自動車、家庭、オフィス、工場などもエネルギー効率の高い設計になり、ソーラーパネルを備えた工場自身が発電しながら電力を賄い、一部をグリッドにつないで全国的にエネルギー供給するというのが将来の姿として期待されています。

 (2)エネルギー貯蔵の必要性

ここからは先ほど紹介した再生可能エネルギーの弱点についてお話しします。曇天とか無風な状態が続くと、当然風力発電や太陽光発電は発電効率が落ちる、もしくはゼロになるという場合が想定されます。
再生可能エネルギーの導入が進んでいくと、曇天、無風状態が数日間続いた場合には電力供給が非常に危うくなるので、エネルギーを貯蔵するという必要性が今後高まってきています。

■エネルギー貯蔵技術の種類
エネルギー貯蔵技術にはいくつか種類があります。電気化学的に貯める蓄電池、化学的に貯める水素などの燃料、力学的貯蔵としては揚水発電、圧縮空気、フライホイールといったもの、熱として貯める蓄熱、私の研究テーマの一つです、最後は電気的に貯めるキャパシタなど、いろんな貯め方があります。エネルギー貯蔵においても、再生可能エネルギーと同じように多様な方法があるということです。

■蓄電池
まず一番わかりやすいのが蓄電池ですね。利活用の例としては、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットなどのモバイル機器、自動車、産業用の定置用での利用、再生可能エネルギーが普及してきたときの蓄電システム、電動工具、非常用電源などで既に一部実用化されていて、将来的にさらに大規模化していくことが期待されています。

これらと変動性の再生可能エネルギーを組み合わせることで、安定した電源として利用していくことが今後進んでいくと思われます。

■熱エネルギー貯蔵
次に熱として貯めるという方法について紹介します。熱として貯めるというのも一つのエネルギーの利用形態です。他のエネルギー技術と比べたときの違いを見てみましょう。横軸が蓄電量、縦軸が時間スケールのグラフで、左下のバッテリーは蓄電量の規模としては少なめで、時間的には数分から数日ぐらいのスケールです。

それに対して右上の水素、メタンといった化学燃料は、貯められるエネルギー量がバッテリーよりも大きく、化学物質ですから数日から数週間、場合によっては月レベルでの貯蔵が可能です。

では熱はというと、その大体中間ぐらいです。バッテリーと水素をつなぐ、エネルギー貯蔵のレベルとしては量的にも時間的にも中間のエネルギー貯蔵技術というふうに見ることができます。

■顕熱蓄熱
熱の貯め方にはいくつかありますが、まず蓄熱技術で最も有名で、実際に商用レベルで実用化しているのが、太陽熱発電における蓄熱です。顕熱蓄熱と呼ばれる蓄熱技術で、固体ないしは液体の物質の質量と比熱と温度差を利用して熱を貯める方法です。

実際の太陽熱発電の蓄熱タンクは数十メートルぐらいの大きさで、原油や天然ガスの大きなタンクをイメージしていただければいいと思います。その中に物質が入っていて温度が高くなっていて熱を貯めます。太陽熱発電では硝酸系の溶融塩と言われる液体の塩を加熱して熱として貯めておく、もしくは岩石とかコンクリートとか、基本的に安価で危険性のない安全なものが使われます。

ただ、顕熱蓄熱の場合は物質の量と比熱と温度差で熱を貯めるので、蓄熱するタンクが非常に巨大になります。日本では大型化して利用しようとすると、土地の問題もあってなかなか難しいというのが現状です。

■潜熱蓄熱
潜熱蓄熱の場合には、相変化材料というものを利用します。物質の相変化、具体的には固体と液体の相変化に伴う潜熱を利用した蓄熱方法です。

わかりやすい例でいうと、氷と水というイメージで考えていただけるといいと思います。0度以下では水は氷で、0度になると外部から熱を加えたときに氷が溶けて氷と水が共存し、全部氷が溶けると液体の水になります。外部からエネルギーが供給されているにもかかわらず、氷の温度が上がらない、これはその外部からの熱を吸収して固体の氷が液体の水に変わっているからで、この時の熱を潜熱と呼びます。

氷と水の場合には0度の熱なので発電というような熱利用を考えると難しいですが、もうちょっと融点が高い材料、その利用に適した材料を選んであげると、その温度レベルでの蓄熱ができるという特徴があります。例としては、溶融塩、金属、パラフィンといったものがあります。

これを使うと、顕熱蓄熱に比べてタンクを小型化できる、つまり高密度の蓄熱ができるというのが特徴になります。

 (3)再エネシステム化と社会実装

最後に先ほどお話しした蓄熱というものの実証例、再エネのシステム化と社会実装について、お話ししたいと思います。

■太陽熱発電における蓄熱の実用化
これは海外の例で非常にスケールの大きな話になりますが、熱的貯蔵・蓄熱を持つCSP(集光型太陽熱発電)の社会実証もしくは実用化の例です。トラフ型という太陽の光を集めるシステムで光を集めます。この集めるところにオイルが流れていて、熱輸送媒体が加熱されて400度ぐらいの熱を回収します。これを溶融塩で熱交換して熱を溶融塩で貯めておき、また熱交換して水蒸気を作って発電するという仕組みが、もう既にスペインの例で実証され、商用化されてプラントとして運転されているという実績があります。蓄熱という技術自体はもう既に商用レベルで確立されている技術なので、これをいろいろな形で転用していくことは可能だと個人的には考えています。

■工場排熱の蓄熱利用
別の例ですが、太陽エネルギーじゃなくて、工場から出てくる排熱をうまく有効利用しようという考え方です。これはフランスのエコテック・セラーム社が開発した蓄熱タンクの実用例です。工場から出てくる排熱を、タイヤ付きコンテナ型の蓄熱タンクにトラックで運べるようになっています。工場から出てくる排熱を配管を通じてガスとして供給して蓄熱タンクに熱を貯める。これによって工場から出てくる熱を蓄熱タンクに貯めて再利用する、ないしは熱を運んで発電して電力に戻すといったことが、現在フランスを中心に検討ないしは一部実用化が進んでいます。

蓄熱をする媒体としてはボーキサイトと呼ばれる非常に安価な材料で、熱を運ぶ媒体は空気ですので、非常に安価で安全なものです。温度レベルで言うと500度ぐらいで、排熱の91%ぐらいが回収できるといった報告もなされています。

■化学蓄熱
最後の技術が化学蓄熱です。顕熱、潜熱の後に化学蓄熱ということで、特徴としては可逆的な化学反応を利用した蓄熱方法です。耐久性、安全性、コストに課題があって、まだ実用化の途中にあるという技術です。

例としては、酸化カルシウムという固体と水蒸気を反応させて熱を出して水酸化カルシウムという固体になる、今度逆反応してあげるとこの熱が溜まるということで、この反応を行ったり来たりすることによって熱を貯めたり出したりするといったことが可能になる技術が既に考案されています。

■工場実証例
この2019年のプレスリリースは、愛知製鋼さんと豊田中研さんと近江工業さんの共同でなされた工場実証の例です。工場から出てくる400度以上の工場排熱を、酸化カルシウムと水酸化カルシウム系の蓄熱システムで蓄熱しようというものを工場の施設内に設置、実証しました。それによってボイラーによるCO2の排出量を80%ぐらい削減したという例も出てきつつあります。

別の例では、産総研さんと高砂熱学工業さんが一緒にやられたNEDOの実証例ですが、ゼオライトという材料と気体を使った吸着剤蓄熱システムというものがNEDOプロジェクトで実証試験されています。例えばトラックで搬送することで、熱が出るところと利用するところが離れていても、熱を運んで利用するといったことができるであろうということが定置型の実証として報告されています。

■産業排熱利用の実態
産業利用分野の排熱利用の実態ですが、温度レベルで見ると、86%が250度未満の排熱で、76%が200度未満ということで、非常にたくさん排熱が出されていますが、その温度レベルがあまりにも低いということで、あまり再利用されてこなかったというのが現状です。しかし、2050年のカーボンニュートラルを実現するには、電力の脱炭素化だけでなく、熱についても脱炭素化がどうしても不可欠であるということはもう既にわかっている事実です。

■太陽熱の産業利用
私の研究テーマにも関わるので、最後の実証例として紹介したいのですが、先ほどの太陽熱を発電に利用する太陽熱発電は非常にスケールが大きくて日本でやるのが困難だというご意見をいただきますが、もう一つの利用形態としては、電力として利用するのではなく、産業用の熱として利用するということであれば、工場の敷地とか工場の屋根に小スケールで設置することによって熱として使うということです。

温度レベルでいうと、低温の場合には150度ぐらいの太陽熱を利用する、中温ぐらいであれば150度から400度ぐらいといった温度レベルでの熱供給というものが一つ、今後の社会実装の形としてはあり得るのではないかと考えられます。

■産業用熱利用の具体例
低温75度ぐらいの温度であれば、グリーンハウスの暖房や農業の乾燥、工業でいくと洗浄や殺菌、乾燥や滅菌といったところに使えます。75度~150度であれば漂白や染色といったところに太陽熱が使えるでしょう。もうちょっと温度が高くなると、蒸留や塗装の乾燥、パルプ製造といったところにも適用できるということで、既に技術としていろんなコレクター、太陽エネルギーを集めるための仕組みが存在しますので、これを組み合わせてあげると、産業用の低温の熱供給というものは可能なのではないかと考えられます。

■海外の実証例
海外の方がこの産業用の低温熱利用が進んでいて、その例をご紹介します。大体150度ぐらいの低温レベルということで見ると、スペインのセビリアにあるハイネケンのビール工場では、温度としては210度ぐらいまでの温度で20年の熱供給の契約をしていて、太陽熱を使ってビール工場での酵母などの熱供給に使っているという例が実際にあります。

その下はフランスの牛乳とか乳製品の工場での熱供給に使っている例で、温度レベルで言うと80度ぐらいです。80度ぐらいの熱を太陽熱から供給して、それで非常にクリーンで環境イメージのいい商品としてブランディングして販売しているということが既に社会的な実証例として報告されています。

 

■まとめ
以上のように、産業用の低温の熱利用というのは日本でも十分可能なのかなというふうに考えられますので、興味ある企業さんいらっしゃいましたら、一緒に何かできると面白いかなというふうに考えています。

<質疑応答>

質問1: タービン発電における排熱の有効利用について

Q: タービンを回す発電では無駄になる排熱がありますが、これを有効に使うことはできないのでしょうか。

郷右近:タービンの熱を有効利用して発電効率を高めるということは、大規模なものに関してはもう既にかなり実用化されているというのが現状です。なので、どちらかというと温度レベルを上げて効率を上げて、出てきた熱をくまなく使うということですね。先ほどお話しした工場排熱のように、低温の熱まで有効に使ってあげる。それは発電という形じゃなくて、タービンから出てきた熱を、例えば水で回収して、その工場内ではできなくても、道路を挟んで隣の工場とかで低温熱の需要があるようなところに熱を供給して使うといったように、一つの社内だけじゃなくて、その周り地域も含めた熱供給みたいな形で、くまなく低温まで熱を使ってあげるというのが一番今後望ましい形かなと考えています。

質問2: メガソーラーなど大型太陽光発電の買い取り見直しについて

Q: 最近の報道では、政府が大型のメガソーラーなど事業用太陽光発電の電力買い取りを見直すとされています。大型施設は環境破壊や災害につながりやすいということを踏まえての話だと思いますが、この辺の動向についてどうお考えですか。

郷右近先生:日本国内ではもう太陽光パネルを張れるところはもう大体貼り尽くしている、多少あるとは思いますけれども、大体置けるところにはもう置かれてあって、逆に初期に置いたものが、今度はそろそろリプレイスの時期に来ているというのが現状なのかなと考えています。

ですので、そういうものが今度環境破壊につながらないように、また回収してリサイクルしていく。そしてまたそこのところに新しい太陽電池を置くのか、また違う形での発電利用というのが、今後、大型の太陽光発電の利用の仕方の1例なのかなというふうに考えています。

Q: 今後のトレンドは、むしろどちらかというと小規模の方に向かうというイメージなんでしょうか。

郷右近:そうですね。もう大体、先ほど小規模のところのお話をしましたけれども、例えば車の上に乗せるとか、ビルの壁に太陽光パネルを張るとか、あとは住宅のところにも入れてZEHというような話もしましたけれども、そういうところで電力供給もしくは電力を自給していく、それは一つの家ないしは工場ないしはビル、場合によっては地域で利用していくというのが一つの形かなと思われます。

Q:今までは電力は買うものだったというイメージがありますが、これからは自分である程度必要な分は自分で作って賄って、足りない分は買ってくるというイメージでしょうか。

郷右近:そうですね。なので、できるだけZEHのところがまさにその典型例かなと思いますけれども、自ら電力を作る、それから省エネして使う量も減らしていく。で、どうしても足りない分を買うというような形にだんだんなっていくのかなというふうに思っています。

質問3: 日本の成長戦略とエネルギーについて

Q: 先生のご専門は熱の利用ということですが、戦後の日本は人も資源も少ない中で頑張って工夫して成長してきました。新潟だけでなく日本全体として、知恵と工夫がもっとできそうな気がしますが、いかがでしょうか。

郷右近:おっしゃるとおりかなと思います。まだまだ再生可能エネルギーを地域レベルで利用するという観点で、今まであまり考えられてこなかったというのが実際だと思います。先ほどバイオマスの話とか小水力みたいな話をしましたけれども、そういう形で、その地域で家庭とか工場レベルで発電する以外に、例えば川が流れているところであれば小水力みたいな形で、その川の沿岸の地域のところで電力をそこで賄う、それから融通するということが十分可能なのではないかというところが今まで見過ごされてきた、もしくはあまりそこに注目がいかなかったというのが現状かなと思います。

一つの家庭でやるのはなかなかハードルが高くても、その地域でまとまって、例えば小水力、それからバイオマス、ソーラーパネルでもいいですし、風力でもいいです。小さな風車を建てるというのも一つの例だと思いますけれども、そうやってコミュニティ化してエネルギーを自給、それから逆に余った場合には売るということも可能になると思いますので、それが今後の日本の一つの姿かなというふうに思います。

特に新潟の場合は土地があるという非常にメリットがありますので、それをうまく生かしていくというのがあるべき姿かなというふうに思います。

 

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