SDGsにいがたの2024年度第3回セミナーが7月17日、オンラインで開催され、新潟県知事政策局政策企画課の清水佑貴さんが「新潟県版SDGsローカル指標と人口減少問題」をテーマに話しました。人口減少問題について清水さんは「一朝一夕で改善できるものでなく、今後も進行していくと考えられる。県でもさまざまな施策を行っているが、行政だけではなく官民共同の取り組みが重要。人口減少問題を自分事と捉えて考えて行動していただければ」と述べ、オール新潟での取り組みが重要だと呼び掛けました。
セミナーの人口減少問題に関する要旨は次の通り。(以下の要旨は生成AI「Claude」を使用しました)
新潟県の人口減少の現状について
新潟県は人口減少を最重要課題と位置付けており、全ての政策を総動員して取り組んでいるものの、思うような成果が出ていない状況です。
新潟県の人口は1997年をピークに減少を続けており、2023年10月時点で212.6万人となっています。前年比で約2.6万人(1.23%)減少しており、これは加茂市の人口に匹敵する規模です。内訳は社会減が4,199人、自然減が22,189人となっています。
人口減少の主な要因は以下の3点です。
- 若年層、特に女性の県外流出
- 未婚化・晩婚化の進行
- 夫婦の出生率低下
新潟県の合計特殊出生率は1.23(2023年)で、人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準)である2.07を大きく下回っています。特に25~29歳女性の出生率が大幅に低下しています。
婚姻に関しては、8割の未婚者が「いずれ結婚するつもり」と回答していますが、実際の行動を起こしていない人が多いのが現状です。25~34歳の未婚者の多くが「適当な相手に巡り合わない」ことを理由に挙げていますが、その6割が特に何も行動を起こしていません。
また、18~34歳の未婚者のうち、交際相手がいない人の割合は男性で7割、女性で6.5割に上ります。社会の成熟化に伴う価値観の多様化や、結婚に関する「世話焼き」機能の低下なども要因として考えられます。
夫の家事・育児参加と第2子以降の出生には強い相関関係があり、夫の育児参加が多いほど第2子以降の出生率が高くなる傾向があります。
社会動態については、新潟県は長期的に社会減が続いています。特に15~24歳の若者の転出超過が顕著で、全体の約8割を占めています。女性の流出が特に問題視されており、自然減にもつながっています。
高校卒業後の進路を見ると、就職者の約85%が県内に留まる一方、進学者の約43%が県外に流出しています。県外の大学に進学した学生の約8割がそのまま県外で就職する傾向があります。
一方、県内の大学・短大の定員は増加傾向にあり、2009年比で1,551人増加しています。県内大学への進学は県内定着に有効であると考えられています。
課題として、県外に進学・就職した若者のUターン就職をいかに促進するかが挙げられています。
新潟県は、この人口減少問題に対し、国や市町村、民間企業と連携しながら「オール新潟」で取り組み、人口減少に歯止めをかけることを目指しています。
人口減少問題への県の対応について
新潟県は深刻な人口減少問題に直面しており、対策を講じています。県の総合計画では、2016年度から2024年度にかけて出生数や県外からの転入を増加させ、人口動態を改善する目標を設定しています。具体的には、社会動態で2500人の改善、自然動態で合計特殊出生率の改善を目指していますが、現状では目標達成が困難な状況です。
国立社会保障人口問題研究所の推計によると、新潟県の人口は2045年には158.6万人まで減少すると予測されています。県は対策を講じることで174万人まで減少を抑えることを目標としていますが、人口減少は今後も続くと見込まれています。
県の対策は主に「自然減対策」と「社会減対策」に分けられます。自然減対策としては、子育てにやさしい社会の実現を目指し、「経済的支援」「結婚支援」「子育て環境整備」の3本柱で取り組んでいます。具体的な施策には、「新潟県こむすび定期」による経済的支援、空き家をリノベーションした子育て世帯向け住宅の推進、子育て応援プラスなどがあります。
結婚支援では、若い世代の結婚を促進するため、結婚に向けた機運の醸成と出会いの場の創出に取り組んでいます。マッチングシステムの導入や結婚支援コンシェルジュの設置などを行っています。
社会減対策としては、県内進学者の増加、県内就職の促進、UIターンの促進に取り組んでいます。県内大学の魅力向上や情報発信の強化、インターンシップの推進、就職活動支援などを行っています。また、「にいがた鮭プロジェクト」では、新潟日報社と連携し県外に転出した若者と学生をふるさとにつなぐ取り組みを行っています。
地方への人の呼び込みと担い手確保のため、「地域おこし協力隊」の活用や「特定地域づくり事業協同組合」の設立支援も行っています。
働き方改革も重要な課題と認識しており、多様で柔軟な働き方を可能とする企業の創出や、男女共同参画を推進する「ハッピーパートナー企業」の登録制度などを実施しています。
新潟県は、東京と比較して待機児童が少ない、通勤時間が短いなどの利点があり、これらの魅力を若い世代に発信しています。また、可処分所得から基礎的支出を引いた実質的な経済的豊かさでは、新潟県が東京を上回る可能性があることも示しています。
人口減少問題は簡単には解決できず、今後も進行すると予想されますが、県は効果が期待できる施策を重点的に実施しています。また、この問題は行政だけでなく、官民共同の取り組みが重要だと考えています。県民一人一人が人口減少問題を自分事として捉え、考え、行動することが求められています。
セミナーのアーカイブ映像はSDGsにいがた会員にのみ公開しています。2024年8月末までご覧になれます。視聴方法はメールにてお送りしています。届いていない場合は事務局にお問い合わせください。こちら