長岡市川口田麦山地内を流れる一級河川相川川には、土砂災害を防ぐための「砂防堰堤」(さぼうえんてい)や農業用水を取水するための「頭首工」(とうしゅこう)があります。砂防堰堤には平成23年に魚道が整備されていましたが、頭首工には魚類等が上流へ遡上するための「魚道」(ぎょどう)がなかったため、川の上下流を行き来して生活する魚や水生生物にとっては障害となっていました。
この度、田麦山地域にある「向山(むこうやま)頭首工」に令和4年12月、県内でも珍しい「石積み魚道」(※)を整備しました。
※「石組み魚道」という表現もありますが、ここでは「石積み」としています。
出典:国土地理院HPより
1 相川川に整備された魚道について
【向山頭首工の石積み魚道】
工事前(写真1)は頭首工のところで川に高低差があるため、魚類等が川を遡上することはできませんでしたが、工事後(写真2)は石積み魚道(矢印)を整備したことにより、遡上できるようになりました。
【砂防堰堤の魚道】
砂防堰堤には階段状の水路形式の魚道が整備されています。
2 石積み魚道の整備について
魚道は日本大学理工学部の安田陽一教授が設計し、安田教授の現地指導の元、施工しました。
(安田教授は平成23年完成の砂防堰堤の魚道整備でもご指導いただき、その魚道を活用した小学生の自然体験学習会においても講師等をしていただいています。)
3 地域の活動と魚道整備の効果
田麦山地域では、相川川や魚野川を自然環境や地域文化に触れる学びの場として活動している『森・里・海をつなぐ川の会』があります。
当地域ではこの会を中心に、長岡市内の小学生を対象とした体験学習や、姉妹都市である東京都狛江市との交流会等において、河川を活動拠点としたイベントを積極的に開催しています。また、河川の自然環境や魚道の役割を紹介するパンフレットの作成や、関係機関への働きかけ等、河川環境の整備に大きな役割を果たしてきました。
この度の魚道整備は、水生生物の成育環境が改善するとともに、相川川・魚野川を含む当地域において住民参加の活動が活性化することや、人と自然が共生する暮らしづくりに寄与することが期待されます。
【「森・里・海をつなぐ川の会」発行のパンフレット「魚のとおり道」から抜粋】