近年、地球規模の問題として大きく取り上げられている幅広い環境課題に対応するため、2019年5月、「プラスチック資源循環戦略」が策定され、プラスチックごみの削減とリサイクルの促進を目的にする「プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律案」(以下プラスチック資源循環促進法)は、2021年3月9日に閣議決定、同年6月4日に参議院本会議で可決されました。今年4月1日から施行されます。(プラスチック新法)
プラスチックについて、単に「捨てる量を減らす」(3R)だけでなく、「捨てることを前提としない経済活動をする」(Renewable)ことを目標に掲げています。
この法律の施行の背景には、海洋プラスチック問題・マイクロプラスチック問題・地球温暖化問題などの環境問題の深刻化、プラスチック資源循環の必要性の高まりがあります。日本の2019年の使い捨てプラスチック廃棄量は471万tで、中国・アメリカ・インドに次ぐ世界4位の多さでした。
国が特定プラスチック使用製品として定め、削減対策が義務化される12品目は、フォーク、スプーン、ストロー、ナイフ、マドラー、ヘアブラシ、歯ブラシ。くし、カミソリ、シャワー用キャップ、ハンガー、衣類用カバーです。
これらを提供する次の5つの対象事業者は、使用の合理化を求められます。
*小売業(百貨店・スーパー・コンビニなど)
*宿泊業(ホテル・旅館・ゲストハウスなど)
*飲食店(レストラン・居酒屋など)
*持ち帰り・配達飲食サービス業(フードデリバリー)
*洗濯業(クリーニング店など)
今後の日常生活への影響としては、レジ袋有料化後、エコバッグを持参することが身近になったように、上記の12品目が有料化になり、コンビニなどでスプーンやストローが無料でもらえなくなると、マイカトラリー、マイストロー等も日常的に持ち歩く人が増えると考えられます。いわゆるワンウェイプラスチックの削減が求められてきます。
またこの法律の施行によって、私たち一人一人がプラスチックごみの分別の徹底が求められることになります。
「三角コーナーやざるは汚れを落とす」「ボールペンやマーカーペンはインクを使い切るか芯を抜く」。環境省は、家庭から出るプラスチックごみの一括回収拡大を目指し、自治体向けの指針をまとめました。住民に分かりやすいルール作りで、プラ製品のリサイクルを進めます。
一括回収では、容器包装以外のプラ製品もまとめて「プラ資源」などとして出すことになります。対象は、洗面器やお盆、DVDやクリアファイルなど、実に157品目にのぼります。
環境省によると、一括回収を実施している全国の自治体や一部事務組合は現在31あります。プラスチック資源循環促進法が施行されれば市町村の努力義務になります。
企業も既にこの新法への対応策に乗り出しています。セブンイレブン・ジャパンは4月1日から、植物由来素材(バイオマス素材)を30%配合したスプーン・フォーク等、環境配慮型カトラリーを順次導入します。
またホテル東横インは、この法律の施行を機に、現在全客室に設置されている歯ブラシセットを、フロント周辺のアメニティコーナーへの設置に変更することを決めました。
今は、木製のストローやマドラー、竹製ナイフや竹製歯ブラシなど、プラスチックに代わる環境に優しいエコ素材が存在しています。これからも続々とこの法律に沿った新製品が開発される可能性があります。
さらに、温室効果ガスの排出抑制、海洋プラスチックごみの削減に向けてバイオプラスチックの利用が注目されています。プロギングはこれらの環境問題と深く関連がある活動であることから、今後もこの新法の進捗状況を注視していきたいと思います。
【投稿者】
プロギングにいがた代表 ゲストハウス「米納津の碧い風」オーナー 山崎光男
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